建設業が直面する課題
建設業では業務の特殊性や季節的な要因から、長時間労働が状態化し、働き方改革の推進が遅れていると指摘されています。高齢化の影響で、建設業に携わる労働者のうち55歳以上が約36%、29歳以下は10%程度にとどまっていると
いう調査結果も出ています。将来の担い手を確保するという事からも、建設業にとって働き方改革の推進は待ったなしの状態です。
なぜ建設業で2024年4月に始まるのか
時間外労働に関する制度改正は、季節やプロジェクトに関係なく労働者の安全を確保する目的で、大企業は2019年4月1日、中小企業は2020年4月1日に施行されました。しかし建設業を含む特定の業種については、業務の特殊性や取引慣行の課題を考慮して5 年の猶予が与えられ、2024年4月1日に施行されることになりました。これに伴って政府は、建設業における労働者の安全や健康の確保、若い世代の担い手を増やし育成することが課題だとし、残業制度の見直しや適正な工期に関する基準の作成などの取り組みを加速させています。
建設業における勤怠管理の実情
制度改正に対応するには、従業員一人ひとりの労働時間を正確に把握する必要があります。しかし、建設業の現場では勤務場所がばらばらだったり、手書きの日報で管理されていたりと、勤怠管理が難しいという問題点があります。従業員の勤務形態も多様化する中、新しく適用される残業規制に違反しないように管理するには、複雑な勤怠状況を把握することができる勤怠管理システムの導入が不可欠です。これによって従業員の労働環境が改善され働き方改革が進めば、新しい担い手の確保に繋がるでしょう。
複雑な勤怠管理の徹底
建設業が求められることは、従業員の勤怠状況をリアルタイムで把握、厳密に管理することです。出勤時間や退勤時間だけでなく、休憩時間や残業時間、研修や訓練を受けた時間などについても、正確に記録する必要があります。労働時間の状況を把握するためには、タイムカードによる記録や、PCの使用時間など客観的な方法や使用者による現任が原則です。やむを得ない場合は適切な措置を講じた上で自己申告をすることが可能です。また、事業者は労働時間の状況記録を作成したうえで、5年間保存する必要があります。
対策の一つとして、勤怠管理システムを導入することが挙げられるでしょう。正社員、契約社員、パートタイムなど残業時間の算出方法が異なる従業員にも対応でき、労働基準法の定める労働時間の上限の範囲で、適正な勤怠管理を行うことができるようになります。また、残業時間の上限を超過することを未然に防ぐには、勤怠管理システムの「上限アラート機能」が役立ちます。
週休2日制の促進
他業種では当たり前となっている週休2日制ですが、国土交通省の調査によると、建設業で週休2日以上の休日を取ることができている労働者は1割にも満たない状況です 。こうした結果にも、建設業における働き方改革の遅れが顕著に現れており、労働時間も長く、休日数が少ないことが大きな課題です。政府は公共工事について工期や経費を見直すなど、週休2日の確保を目指した取り組みを強化しているほか、民間工事についても労働者の健康やワークライフバランスを考慮した環境作りを呼びかけています。
働き方改革にともなって改正された労働基準法については、残業規制の他にもいくつか重要事項があり、注意が必要です。
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