【THE人材不足】~人材ミスマッチ~

 「ミスマッチ(mismatch)」

既に組み合わせとなっている両者にズレが生じていたり、不釣り合いであったりする状態を指す言葉です。

企業側と求職者のニーズにギャップがある状態を指します。 人材採用におけるミスマッチには、さまざまなパターンがあります。例えば、市場の変化などにより求人需要は低いが、求職者数は多い状態が発生するといったミスマッチです。また、企業側が求めるスキルや年齢、条件などが求職者の求めているものと一致しない、いわゆる雇用条件でのミスマッチというパターンもあります。

「アンマッチ(unmatch)」

両者が一致しないためにうまく組み合わせができない状態。人材採用などの場面では、能力・給与など、企業側が求める条件に合った求職者がおらず、採用に至らない状態。 「ミスマッチ」は企業側と求職者の間で、条件面などでニーズにギャップがある状態を言いますが、「アンマッチ」は採用そのものが成立しない状態。微妙な違いはあるものの、現状としては、このアンマッチも企業が求める募集要項にマッチする求職者がいない状態を指していることから、ミスマッチのひとつとして扱われることがあります。

 
企業でミスマッチを解消できれば、求職者との溝を埋めて、より優秀な人材を採用できる確率を上げることも可能。

雇用条件によるミスマッチ

企業側が条件を伝えたつもりでいても、求職者側が内容に対して認識不足であれば、そこにミスマッチが発生します。人材採用時の情報共有は明確に、一度だけではなく複数回確認が必要。

企業風土や性格のミスマッチ

企業の組織風土が入社前に考えていたものと異なる場合、また求職者の性格と企業風土が合わなかった場合にもミスマッチは発生致します。

企業の風土は数値などで表せないため、事前に求職者が正確に把握するのは困難。しかし、このミスマッチは入社後に大きな違和感を生み出し、早期退職の要因になってしまう可能性も否定できません。 採用活動時には、面接や顔合わせなどで求職者との接点を多く持つようにして、企業風土をわかりやすく伝えたり、求職者の性格理解を深めたりするようにしましょう。

仕事内容のミスマッチ

求職者の持つ仕事の能力やスキルと、企業が求めている要素に差があると、業務のミスマッチが起きます。筆記テストなどの適性検査だけでは、なかなか求職者の能力を測るのは難しいものです。 企業側が「この人は仕事ができそうだ」勘に頼って採用した人材が、見込み違いだったというケースは珍しくありません。カンの良い求職者は、自分の能力が企業が求めるレベルに達していないことに気づくと、すぐに退職の道を選んでしまうこともあり、職場体験やインターンを利用し、企業と求職者の間で仕事の能力やスキル、仕事内容に対する理解を深めるのが有効です。 

人間関係のミスマッチ

人間関係のミスマッチが発生すると、せっかく新しい人材を受け入れても、社内でのトラブル発生につながります。採用活動を行う際、面接などで求職者の経歴や実績だけでなく、入社後に配属させるであろう部署で問題なくやっていける人物か否かを見極める必要があり、現在の職場で退職に追い込むような人物がいないかなど、人事担当者が職場環境を把握しておくことも必要です。


1.ミスマッチによるデメリット


1-1.パフォーマンスが発揮されにくい


採用した人材の能力が発揮されないケースです。仕事内容や雇用条件が事前に認識していたものと違ったり、企業の方針や社風に適応できなかったりすると、社員は入社後にギャップを抱えることになります。 こうしたミスマッチを抱えたままでは、社員のパフォーマンスが発揮されにくい状況を作り出すこととなり、自社を背負って立つような人材の育成も難しくなります。面接時には雇用条件や社風を的確に伝え、ギャップを生み出さない必要性があります。


1-2.モチベーションが下がりエンゲージメントが低い

人材のモチベーション低下です。入社後、仕事内容に不満を持ち続けたままでいると、社員の企業への信頼感は上がりません。モチベーションが下がり、エンゲージメントの向上が見込めなければ、企業にとってはマイナスです。自社の課題を真剣に考えて主体的に行動してくれる人材を育てるためにも、ミスマッチが起こった段階で、何らかの対策を取りましょう。

1-3.人材の早期退職で無駄なコストがかかる

採用した人材の早期退職です。人を採用すれば必ずしも課題が解決するとは限りません。ミスマッチが要因となって早期離職者が増えれば、新たに採用を行わなければならず、無駄なコストが増えてしまいます。 手間やコストをかけて行った採用活動を無駄にしないよう、面接などの場では慎重に、求職者との雇用条件や業務内容についての相互理解に努めるようにしましょう。


2.ミスマッチを防ぐには


企業にとっては採用活動を重ねて見つけた貴重な人材であり、求職者からすると、せっかく入社すると決めた企業であるため、入社後のミスマッチはお互い避けたいはずです。双方が入社前に抱いていた「期待」が、入社後の「現実」と大きく乖離してしまわないよう、以下の点には気を付けてください。


2-1.業務内容と給与額など雇用条件にミスマッチがないか検証する

業務内容と給与額など、雇用条件にミスマッチがないかどうかを検証しましょう。注意すべき点としては、 「選考時に良いことだけ伝えていないか」です。これはギャップ、ミスマッチなどを生じさせる最も大きな原因となります。採用段階においては適切に情報提供を行い、期待と現実の乖離が起きないようにしましょう。

2-2.自社の業務内容や社風を正確に伝える

業務内容や社風でのミスマッチをなくすためには、情報の提供を十分に行わなければいけません。「風通しの良い職場と聞いていたはずが、いざ入社してみると上下関係に厳しい職場だった」、「入社後に配属となった業務が、入社前に思っていた仕事内容と違っていた」などの要因は、ミスマッチを生み出すことになります。 人事担当者は、少しでも優れた人材を獲得するため、自社の良い点をアピールしがちです。しかし、入社後にミスマッチが生じるのを防ぐには、自社のネガティブな部分も選考段階である程度求職者に見えるかたちで提示しておくべき。求職者から質問があった場合には、社風などについても誤魔化さずに説明するようにしてください。

2-3.リファーラル採用制度を取り入れる

ミスマッチを防ぐためには、リファーラル採用制度を取り入れるのもひとつの手です。リファーラル(Referral)には推薦や紹介、委託といった意味があり、リファーラル採用制度は、従業員が持つネットワークを利用して人材を採用する採用手法になります。 「従業員からの紹介で人材を採用する」と聞くと、縁故採用を思い浮かべるかもしれません。しかし、紹介者との関係性を重視して採用する縁故採用とは異なり、リファーラル採用制度ではスキルを重視して、自社で実力を発揮できそうな人物を採用します。 この制度を取り入れることで、選考開始前にある程度マッチングをはかれるため、ミスマッチを減らして人材採用の失敗を防げたり、自社が求める人材と接点を持てたりできるのです。

2-4.入社後のミスマッチがないかフォローする

入社までの対応だけでなく、入社確定後にミスマッチがないかどうかをフォローすることも重要。入社後、社員へ自社の印象などをヒアリングし、どのように感じているかなどを聞くことで、その後の採用活動へのヒントも得られます。


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