JATA(日本旅行業協会)が実施した訪日観光客の受け入れ拡大に向けた意識調査で、最大の課題は人材不足であることが分かった。
旅行会社・宿泊事業者・輸送事業者・自治体などは受け入れをさらに増やしていくためには、人材面の課題解消が最も重要な条件となるが、政府の支援、地方の国際線拡充、自治体の広域連携拡大などに期待する声も多い。
訪日観光客の戻り具合は、26%が19年比で50%未満にとどまると回答した一方で、23%は90%程度まで回復し、事業者間で差がある。
現在の課題は人材不足が64%でトップ。
ドライバー・バスガイドを筆頭に、旅行カウンターやホテルのフロントなど、ユーザーへのサービススタッフ不足。営業・マーケティングに携わる人材も足りていない。
要因は、賃金など待遇面、残業・休日出勤など労働環境と、就職希望者が少ないという深刻な現状。観光産業全体で将来も含めた人員の確保が大きな課題です。
人材不足以外は、2次交通・国際線地方路線・アクセスなど交通インフラ整備が合計で52%、多言語対応(インフラ・人材)が合計で63%と多かった。
物価高などによるコスト上昇にも頭を悩ませる。19年と比較してコスト上昇を価格に反映した企業は観光事業者全体の41%。今後検討するという事業者も37%あり、値上げは業界全体で不可避となっている。
課題
- 労働環境の改善
- 長時間労働・低賃金:残業時間の上限規制、最低賃金の引き上げ、サービス残業の撲滅
- 休日不足:週休二日制の徹底、年間休日数の確保
- キャリアパス不明確:明確なキャリアパスの構築、専門スキル習得支援
- 魅力ある職場づくりの推進
- 多様な働き方の実現:テレワーク・フレックスタイム制導入、育児・介護との両立支援
- 国際的な労働環境の整備:外国人労働者の受け入れ体制強化、日本語教育・生活支援
- 観光産業の社会的地位の向上:観光産業の重要性・魅力を広く発信
対応
- 国・政府による支援
- 労働環境改善のための補助金・助成金の拡充
- 外国人労働者の受け入れ制度の簡素化
- 観光人材育成のための教育プログラムの充実
- 企業による取り組み
- 労働時間管理の徹底、残業削減のための業務効率化
- 能力・実績に基づいた評価制度の導入、昇進・昇給制度の明確化
- 多様な働き方を可能にする制度・環境の整備
- 外国人労働者向けの日本語教育・生活支援プログラムの提供
- 業界全体の取り組み
- 観光産業の魅力向上キャンペーンの実施
- 観光人材のキャリアパスに関する情報発信
- 観光産業における模範的な企業事例の共有
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